1年間苦労して学んだことはすべて、実務に役立っている。
──入社までの経緯を教えてください。
母校の創造性と機能美に溢れた校舎が好きで、「自分もこんな人を喜ばせるような建築物の設計をしたい」という気持ちが育まれ、大学は建築学科に進学。就活では当初「ものづくり」に興味があったので「施工管理職」を視野に入れていたのですが、「意匠設計」の研究室で学んだこともあり、教授から「設計の方が向いていると思う」という助言をもらいました。自分でも「これまで打ち込んできたことを活かしたい」と考え、志望先を「設計職」に絞りましたね。そこで会社研究を進めていくうちに「設計と施工を一貫して担っている」という当社のビジネスモデルに興味を持ちました。いくつか内定をいただいた中から当社を選んだ理由は、大学院卒が多い設計職の中で「肩書を一切気にせず、向き合ってくれた」「丁寧な対応だった」ことです。また、会社の雰囲気も和やかだったので、入社を決意しました。
──入社後1年で、一級建築士に合格されていますね。
施主様からの信頼度が断然変わってくるなど、一級建築士の肩書は特別です。そのため、自身のキャリアにおいて「絶対に取得したい」という資格でした。折しも2020年に建築士法が改正され、これまで必須だった実務経験がなくても受験が可能になりました。また世の中がコロナ禍だったこともあり「今のうちに、頑張ろう」と、入社1年目の夏から本格的に猛勉強をスタート。朝30分程勉強してから出社し、仕事が定時で終わった後にも勉強に望み、知識の吸収に励みました。それが終わるとテキストなどは会社に置かせてもらい、帰宅後はリラックスする──というスタイルで資格取得に臨みましたね。1日何時間勉強したのか思い出せないくらい、果てしなく学びに費やしたという記憶があります。
──勉強でご苦労や、「学んで良かったこと」を教えてください。
「経験による知識」がほとんどない分を、とにかく座学で補わなければならないので、「知識を詰め込む」というところでの苦労がありました。週1回学校に通いながら出された課題を解き、「キャリアの浅さを時間と量で何とか埋めた」というイメージです。勉強して良かった点は「全部」ですね。習得した知識は、すべて実務で活かされています。たとえば防水などの領域で部材部分が綺麗に組み合う「収まり」が求められるのですが、「まさに習ったところ」を活用することができました。ただ、忘れている箇所もあるので、実務の中で思い出しながら業務を推進しています。
理解ある環境で勉強が捗る。仲間達と切磋琢磨し、合格へ。
──資格取得に対する、支援体制や環境についてお聞かせください。
7月に学科試験、10月に製図試験があるのですが、その前に業務が集中しないように配慮してくれたり、積極的に有給取得を勧めてくれたりしたことも、合格できた大きな要因だと感謝しています。あとは、私のときには無かった制度なのですが、今は試験に関する情報が、設計部全体に発信されるようになりました。他には取得後に行われる更新手続きの費用が会社負担であったり、お祝い金が出たりするといった制度があります。それ以外だと、お互いに資格取得を励まし合う「切磋琢磨できる仲間たち」が社内にいたことも、私にとって大きな支えになりました。
全体的に「資格取得を応援する雰囲気」は強く、挑戦していることは設計部全体で共有されているので、部内での声掛けがありました。また、当時働いていた支店では、営業部の方からも「試験前には、あまり仕事を頼まないようにするから、試験頑張ってね」と配慮してくれたことも、ありがたかったです。私個人としては、「応援の言葉を、モチベーションに置き換える」ことで、地道な積み重ねを継続できたと分析しています。そして、日になり影になり支えてくれた周りのおかげもあって努力が報われ、合格できたときの喜びは、今でも感慨深いものがあります。
──現在の業務内容と「資格取得後に変わった点」を教えてください。また、業務で大変なことはありますか?
契約後に詳細な図面を作成する「実施設計」から、着工後にお引渡しまでを担当する「工事監理」という業務を行っています。現在は企業の本社ビルの設計、共同住宅の監理、ホテルの監理業務補助に携わっています。資格取得前は「実施設計」の前段階で、施主様に提案するための「企画設計」業務に従事していました。その後、一級建築士の資格が交付されて3年目から(編注:交付には、実務経験が2年以上必要)は、「実施設計」に移り、仕事の内容はガラッと変わりました。
「企画設計」も面白いのですが、個人的には「自分が引いた図面が、そのまま建築物として具現化される。そのために工事監理も担う」という今の業務内容に魅力を感じています。大変に感じるのは、覚えることが無限とも思えるほど広がっており、自分のキャリア不足を痛感するところです。乗り越えるためにもっと知識を蓄え、経験を重ねることで多様な対応力を身につけたいと考えています。
やりたい仕事だから楽しいし、やりがいも大きいです。
──どんなときに「やりがい」を感じますか?
「当社を選んで良かった」としみじみ思うのは、最初から最後まで物件を任せてもらえる体制です。もちろん責任は伴うのですが、「自分がこの物件に関わった」と堂々と言えるところが、やりがいにつながっています。ちなみに、責任については会社として最大限配慮をしてくれるので、無理なく力を発揮できる環境です。建築士の中には「超高層マンションなど、巨大プロジェクトで活躍したい」という方もおられることでしょう。その場合はどうしても細分化された箇所だけを任されることになると思います。
しかし、髙松建設では、建築物のみならず駐車場の配置やエレベーターといった構造に関わる設備から、トイレの収まりといった詳細な箇所まで「1棟ごと担当」することができるのです。私にとっては当社の「幅広い業務に携われる」ことが、やりがいにつながっています。また、オフィスや共同住宅、ホテルなど様々な建築物の設計ができることで、毎回新鮮な気持ちで業務に取り組めて経験値を高められる点も、当社で働く上での大きな魅力だと感じています。
──今後の目標について教えてください。
私が建築士を志した原点が、「自分の通っていた学校が好き」だったので、施主様に喜んでいただくのは大前提として、「自分が手掛けた建築物を使用してくださるみなさんが、ちょっとでも良い気持ちになってくれる」ような物件を増やしていくのが目標であり、自分自身の幸せです。そのために、多岐にわたるジャンルへのチャレンジを続け、「何かを届けられる人」になれたらうれしいですね。また、施主様に対しては「何を望んでおられるのか?」を徹底して把握し、たとえば「この空間であれば、このデザインのタイルがぴったりです」と自信を持って提案する力を磨き、喜ばれるようになりたいです。
会社員としては、「今の女性上長のような存在になること」を目指しています。現状、私の仕事は上長のサポートありきで成り立っていると感じることが多々あります。しかし、10年後には「人を支援する立場」になっていなければなりません。そのときには信頼されて、正しい判断を下せるようになりたいという強い気持ちがあります。