現場ごとに判断が求められる面白さ。所長として現場を動かすやりがい
――入社までのご経歴を教えてください。
日本大学理工学部の建築学科で学びました。在学中は設計よりも構造分野に触れる機会が多く、建物がどのように組み上がり、安全や品質がどのように確保されていくのかに関心を持つようになりました。そうした背景から、就職活動では施工管理職に絞って企業を選びました。現場で建物が形になっていく過程に関わりながら、品質や安全を管理する仕事に携わりたいと考えたためです。
――入社後はどのようにキャリアを積まれてきたのですか。
2015年に新卒で入社し、施工管理として現場経験を積んできました。現在(インタビュー時、2026年3月現在)は11年目で、来月から12年目に入ります。これまで主に5階建てから12階建て程度の中層マンションを担当してきました。工期は1年を少し超える現場が多く、工程に応じて業務内容が変わります。事務所での業務に加え、現場で進捗を確認しながら協力会社や係員と調整し、工事を進めてきました。現在は所長として現場全体を統括しています。
――所長として感じるやりがいを教えてください。
現場ごとに条件が異なり、進行に合わせて所長としての判断が都度求められるのが、難しくもありやりがいを感じる点です。5階建てと12階建てでは難しさも違いますし、工期が1年超に及ぶ現場では、着工から仕上げまで見る景色が何度も変わります。工程、安全、品質、協力会社との連携を総合的に考えながら現場を動かすため、毎回学びがあります。飽きずに続けられる理由は、現場が常に動いているからです。
「所長が真っ先に帰る」から始まる空気づくり。先回りの段取りが残業を抑制

――安藤さんの現場では残業が少ないと伺いました。秘訣を教えてください。
まずは「業務が終わったら早く帰ろう」という空気を作ることですね。所長である私が黙々と仕事を続けて帰りづらい雰囲気を作らないよう、率先して先に帰ることもあります。若手係員2人と一緒に、みんなで駅まで帰ることも珍しくありません。
――空気づくり以外に、業務をコントロールするために意識していることはありますか。
予想外の業務をゼロに近づけるための、徹底した先回りの段取りです。図面のチェックや業者への修正依頼など、どの工程にどれくらいの期間がかかるか、経験の浅い係員には見えにくい部分があります。だからこそ、所長である私から「いつまでにこれを見せてほしい」と期限を明確に伝え、スケジュールを前倒しで管理しています。経験上「業者は次にこう言ってくるだろう」と予測して手を打っておけば、突発的な残業は防げます。
――会社全体としての取り組みはいかがですか。
当社では月曜・水曜・金曜をノー残業デーとして設けており、現場でも同じ意識で早く帰るよう働きかけています。また、ノー残業デーは「もう帰っているだろう」という認識が社内に浸透しているため、17時半以降の業務連絡が自然と減ります。電話がかかってこないだけで、実際の退勤時刻は大きく変わります。
「eYACHO」で業務を可視化。属人化を防ぎ、効率的な現場運営を実現するICTの力
――働き方改革が進む中、デジタルツールの活用が社内体制を大きく変えたと伺いました。
社内共通のシステムとして「eYACHO(イーヤチョウ)」というICTツールをフル活用しています。これは業務日報やToDoリストをリアルタイムで共有できるもので、1週間・1日単位の目標をシステムに入力し、私や部門長が内容をチェックしています。これによって、特定の係員に業務が集中するのを防ぎ、「優先度の低い業務」を上司が判断して削減できるようになりました。
ーー進捗が可視化されることで、現場での情報共有や連携にはどのような変化がありましたか。
大きな変化を実感しています。以前はそれぞれが個人の手帳に書き込んでいた予定を、全員で共有できるようになったわけです。例えば誰かが体調不良で急に休むことになっても、「今日彼が何をやるべきだったか」が瞬時にわかります。内容が共有されているので、すぐに他のメンバーがフォローに入れる状態です。また、図面もすべてeYACHOで共有しており、設計担当と現場で同時に最新の図面をチェック・追記できるため、資料を探す手間やミスが劇的に減りました。
4週8閉所が広がる現場。土日を完全に休める契約体制への移行

――建設業界では、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されています。現場はどのように変わりましたか。
一番大きな変化として感じるのは、会社として「4週8閉所(4週間で8日の現場休み)」を推奨し、それを前提とした工期でお客様と契約する現場が増えてきていることです。以前は土曜日も誰かが交代で出勤し、平日に振替休日を取る形が一般的でしたが、今は土日に現場を閉所する案件も増えてきています。
――4週8閉所は、施工管理の立場からはどのように映りますか。
実は施工管理側にとって、全員の休みが揃うのは大きなメリットです。交代で休んでいると、チーム全員が揃う日が限られてしまいますが、土日休みなら平日は常に全員で足並みを揃えられます。「現場は動いているのに、担当の自分は休み」という状況に伴う不安や確認の連絡がなくなる。心理的にも管理のしやすさという面でも、この変化はプラスに働いていると感じます。
一方で、職人の立場では、仕事量に応じて収入が決まる側面もあるため、「働きたい」という声があるのも事実です。また、土曜日に動かない現場が増えると平日への人手の集中が起き、人繰りが難しくなっている部分もあります。業界全体としてこれらにどう対処するかが今後の課題だと思っています。
――最後に、施工管理職を目指す就活生へのメッセージをお願いします。
施工管理の仕事にはデスクワークと現場確認の両方があり、工事の進捗に合わせて業務も変わるため、毎日が新鮮です。労働時間の面でも、会社全体の仕組みや各現場での段取りが整ってきています。私自身、休日はフットサルや山登り、サウナなど、好きなことに自由に時間を使えています。しっかり働いて、しっかり休む。これができる環境だからこそ、11年間情熱を持って続けてこられたのだと思います。
建設業界のイメージで迷っている方もいるかもしれませんが、現場のICT化や制度改革は、皆さんが想像している以上に進んでいます。建築の現場に興味がある方は、ぜひ飛び込んできてほしいと思います。