年齢を重ねても、まだまだ奥深い。70歳のベテランが語る「課題を引き出し、解決する」開発営業のやりがい。

「お客様に喜んでもらえるのが、開発営業の本懐です」と、柔和な笑顔でインタビューに応えてくださった浪花さん。大学卒業後、1979年に当時100人足らずだった髙松建設(当時:髙松組)に入社。総務部で7年経験を積んだ後は、開発営業一筋で現在まで最前線で活躍されています。昭和、平成、令和と3つの時代を駆け抜けてこられた「開発営業のレジェンド」である浪花さんに、仕事の醍醐味や大切にしてきた流儀について伺いました。


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培ってきた豊富なノウハウや人脈に、最先端のデータ活用やツールをかけ合わせて、今日も現場を駆ける。

──現在の業務について教えてください。

60歳で定年を迎えて会社に残る選択をした際、会社から「営業を後方支援するポジションと、現場のどちらが良いですか?」と打診があり、迷うことなく「一兵卒としてお客様と携わる道」を選びました。本部長まで務めさせていただき、充実感とやりがいを持って働けていましたが、役職が上がるほどお客様との距離が離れてしまうことに、開発営業としての寂しさを覚えることもあったからです。

現在の業務は、長年培ってきた銀行や不動産会社、既存顧客様との人脈を活かしながら、新規開拓にも注力しています。割合としては半々です。お客様と直接関わることができる最前線の仕事は面白く、何ものにも代えがたい醍醐味があります。また、案件ごとに問題点を見つけ、お客様のお困りごとの解決のために学習しなければならない税法、民法等の各種法令や日々、変化する営業支援ツールの使い方など、何歳になっても覚えることが多い点も、この仕事の面白さです。若い仲間に教わりながら、新しい仕組みや最新のテクノロジーを学ぶことも、私にとって喜びのひとつです。

──長年活躍されているなかで、思い出に残っているエピソードはありますか?

不思議なもので、円滑に進んだ案件よりも苦労した案件のほうが記憶に残っています。中でも初めて受注したマンションは私の原点でもあり、強く思い出に残っています。お客様とは新規開拓で出会いました。老朽化したアパートを見つけたので、土地オーナーであるお客様にアプローチを始めたのです。しかし、拒否の意思を示すように、夏場の打ち水をかけられることがありました。帰社して上司に報告すると、「普通は無視されるだけです。感情をぶつけられたからには、何か理由があるのではないでしょうか。再度訪問してみては?」と助言を受けました。

ただ、どうしても勇気が出ずにお客様の家の周りをためらいながら歩いていると、外出されるタイミングで顔を合わせることになりました。開口一番に「先日は悪いことをした。家族が大病を患っており、感情的になっていた。」と謝罪の言葉をいただいたのです。胸の内を明かしていただいたご縁から関係が生まれ、信頼を築いた結果、2階建てのアパートを42戸のマンションへ建て替える大型案件へとつながりました。今でもそのマンションは堂々とそびえ立っており、お客様の大切な資産として、そして地域の方の快適な住まいとして役立っています。そのことを思うと、誇らしい気持ちになります。

重圧を凌駕する、「お客様と建物を築き上げる」喜び。さらに、「期待以上の提案で感謝される」というプロの誇り。

──長年、現役を続けておられる理由を教えてください。

年齢を重ねた現在でも未達の重圧を感じ、毎年「引退」の文字が頭をよぎるほどです。しかし、「お客様とともに、建物を築き上げる喜び」は、プレッシャーを上回ります。開発営業の真骨頂は、お客様の意向に沿うだけではなく、「期待を超える提案をすること」にあります。オーナー様の中には「悩みを打ち明けるのは、自身の弱みを吐露すること」と捉える方も少なくありません。だからこそ、本当の困りごとを拾い上げるには根気が求められます。何度も訪問を重ねながら、本質的な課題を引き出し、期待以上の解決策を提案するのです。地道な努力が、「この人に任せれば安心だ」という厚い信頼の獲得につながると確信しています。お客様からの感謝の声が働き続ける原動力です。

──仕事に対する哲学や秘訣、入社当初と現在の変化などをお聞かせください。

若い仲間には、「お客様を身内だと思って接してください」と伝えています。本当の家族のように向き合えば、自然と接し方もやわらかくなり、「喜んでもらえたら嬉しい」という気持ちが湧き上がってくるからです。また、「建物が完成したら終わり」ではなく、「ご縁の始まり」と捉えて、築いた関係を大切に育んできました。仕事以外でも長期的に寄り添う姿勢を貫いてきたことが、今の人脈につながっていると感じています。

秘訣については、経験を重ねると動物的な勘が磨かれ、お客様の緊急度がわかるようになります。お客様にとって緊急性が高い場合は、お客様の背中を押すことも重要です。特に、昔と今で大きな変化を感じるのは、営業体制です。私が着任したころは事業計画書の作成などを全部1人で担当していました。現在は得意分野を持つ人材が協力し、チームで成果を上げていくスタイルへと変化しています。自分の不得意な分野は仲間が協力してくれるという環境が、年々醸成されていっていると実感します。

強みや個性を伸ばす育成方針を貫く。若手の案件獲得は自分の受注よりも嬉しい。

──後進の育成に、どのように注力されていますか?

昔のマネジメント手法は「孫悟空になれ」でした。つまり、毛を抜いて息を吹けば自分の分身が増えるように、「同じ能力を持った人材を育成すること」が求められていたのです。しかし、現在は「強みや個性を活かすこと」が重要になりました。今は若い仲間2人と一緒に案件に取り組んでいるのですが、自分のやり方を押し付けないよう心がけています。もちろん求められれば助言はしますが、干渉しすぎないように意識しています。本質的な学びは自らの経験からしか得られないと確信しているからです。困難を乗り越えた若い仲間が案件を獲得したときは、自分が受注したときよりも大きな喜びを感じます。

──どんな若い仲間に、入社してほしいと思いますか?

「感謝される仕事がしたい」と思う方に、ぜひ仲間になってほしいです。感謝されるためには、「お客様が何に困っているのか?」を、常に考え続ける習慣が必要になります。こうした積み重ねによって、お客様の期待を超えるような提案ができるようになり、真のパートナーとして信頼されるようになるのです。その点に、開発営業のやりがいや醍醐味があります。開発営業は、スキルや精神を磨くほど奥深さが増していく仕事です。70歳の今でも毎日が新鮮で楽しいと感じます。ぜひ、自分らしく成長できる環境で挑戦してみてください。